旧友恋(3)

投稿番号[2043] 天気

(今回が最終回です)

卒業進学と県外浪人生活で互い進路が分かれ、細く淡かったR君との繋がりは柔らかく消えていきました。

博多で浪人生活を送ることになった正憲。
寮とはいえ、実家を出ての準一人暮らしは初めてでした。
ウキウキですが、1年の期限付き。
2浪はできないので確実に合格しなくてはなりません。

男子寮も初めて!
結論を先に書くと、オトコの花園という雰囲気ではなく、ムフフなこともありませんでした。
皆ひたすら黙々と勉強する感じ。
その目的で集まっているのですから仕方ありませんね。

あまり友達ができず、そういう経験もしづらかったです。
周りのイケメン率(タイプ率)が低かったのもあります(苦笑)。
おかげで勉強に集中でき、1年で予備校卒業できました。
今思えば、もっとウキウキな体験をしておきたかったです。

自分がゲイであることを“知った”のは高校1年の冬。
“気づいた”のではなく“知った”のです。
前記事でも書きましたが、高1の頃はずっと通院の日々でした。
通院後にバスに乗って塾に向かうのが日課でした。

ある日、バスを目の前で逃してしまい、30分近く待つことになりました。
ボーッと待っていても仕方ないと思い、手前のバス停まで歩くことにしました。
少し歩いて2つ前のバス停まで来ました。
時刻表を見るとまだ15分ほど時間があります。

暑かったのでバス停そばの本屋で時間を潰すことにしました。
昼ではありますが、バス停のそばなので数名の客がいました。
立ち読みはせず、ブラブラと店内を巡視(笑)。
ふと、目の前に綺麗な表紙の厚い雑誌を見つけました。
ビニールがかけられています。

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その時はたしか『競パン』を着てリラックスする青年の絵だったと思います。
中身を見ることができないため、なけなしの小遣いをはたいて買うことにしました。
それが何の雑誌なのか分からないままに。
バスがやってくるので急いでバス停に戻りました。

数分後、バスが到着。
車内で落ち着いたので、読んでみることにしました。
雑誌を開いて、
「ギャーーーーッ(驚)」
と声は上げませんでしたが、心臓がバクバクしてすぐさま閉じました。

大変なものを買ってしまった!
家に帰って、文字通り机の引き出しの奥にしまいました。
それから1週間は開くことなく厳重に管理。
女性の体すら見たことがないのに、エロさをアピールした男の裸なんて初めてでした。

1週間後、家族が寝静まったあとでこっそり雑誌を開きました。
ホモやゲイという世界があることを初めて知った。
そして自分がゲイという部類だということもそのとき知りました。
嫌悪や後悔といった感覚はなく、そうなんだねぇと受け入れた感じです。

小遣いを貯めては、ときどき「さぶ」を買いました。
本屋で買うときはドキドキしましたが、冷静になれたあとで「薔薇族」や「アドン」、「THE GAY」、「豊満」という雑誌があることも知りました。
自分のタイプは「薔薇族」に多かったです(笑)。
雑誌の中には自分と同じゲイがたくさんいて、文通欄には全国のゲイが載っていまいた。

ただ、“本物のゲイ”に会ったことはありませんでした。
ハッテン場などにも行ったことはなく、文通でも会うことはなく、ひたすら雑誌を読むだけ。
買っていた本屋は一般書店なのでそこでも誰かと出会うことはなく、ぶっきらぼうなオバちゃんだけでした。
そうして3年が過ぎ、博多で浪人した時にその日が訪れました。

当時、ひょうたん池の近くにゲイショップがありました。
春に寮に入り、雑誌を買いに行く決意をしたのは秋になってから。
雑誌の広告で知ってはいたのですが、行く勇気がなかったのです。
ショップの前の何往復したことでしょう(笑)。

初めて入ったゲイショップは青い予備校生には刺激的でした。
薔薇族を手にとり、脇目も振らずにレジに持って行きました。
自分より数歳年上ぐらいと思う格好いい青年が店員さんでした。
人生で初めて出会ったゲイ!!!

数分のことでしたが、衝撃的でした。
ゲイって本当に格好いいんだ!と驚きましたよ(←自分をさておき)。
二度目にショップに行った時、その店員さんはいませんでした。
素敵な人だったのになぁ(一目惚れ)。
ショップの彼はお受験には影響せず、無事に大学に合格し、地元に戻りました。

大学入学後。

雰囲気にも慣れて落ち着いてきたある日、学食の端で勉強している男子を見かけました。
見覚えのあるイケメン!
一人で何やら本を開いて勉強中のその男子は、あのR君でした。
学部は違うのですが、学食はすべての人が集まる場所です。

誰か待ち合わせていないか確認して近づいてみました。
「R、久しぶり!」
「おー、元気かぁー、入ったんだ、おめでとう」
「どうにか滑りこんだよ(苦笑)」

1年半ぶりぐらいに再会できたR君は相変わらずイケメンさんでした。
少しお話してからポケベル番号とPHS番号を交換しました。
そう、あの時代はまだポケベル全盛期。
それからR君とときどき連絡を取り合うようになりました。

学生ですから授業やバイトがあり、学部も違うのでなかなか会えません。
当時は正憲はまだ運転免許を持っていませんでした。
R君は現役で入学したので2年生で、車を持っています。
その事情が分ってから、ときどきドライブに誘ってくれました。

お互いバイトが終わってからとなると、21〜22時ぐらいからです。
幸い、沖縄は夜型社会なので、多くの飲食店などが深夜まで開いています。
A&Wやマックでゆんたくし、ドライブしました。
当時彼女がいたR君は彼女との話をよくしてくれました。
微妙な心境ですが、ノンケさんの恋愛話を直に聞く機会がなかったので、興味深く聞きました。

エロな話題も多く、そういう場面のR君を想像して一人赤面でしたよ。
キモいキモい。
彼女とのデートコース?と思われるところによく行きました。
「こんな公園いいよ」と正憲のデート対策のために教えてくれるのです。
今がデートなんだけどなぁ、と思っていたなんて夢にも思わないでしょうね(苦笑)。

二人でよく行ったのがラブホ巡りです。
モーテルタイプが多いので、車でまわることができます。
「ここが良かった」「ここの○○は面白い」「ここは汚い」
自分の体験談を話してくれます(彼女と行ったのかな?)。
男二人でラブホドライブって!(笑)

けっこう楽しかったです。
一度だけ、R君がこう言ったことがあります。
「入ってみる?」
急なことで正憲がアタフタしてしまい、「えぇー、変だよぉー」と断ってしまいました。
R君は「そう?」とちょっと残念そう(に見えた)。

今なら迷わず「入ろう!(ヤろう!)」と言えるのですが、当時はそんな機転が利かなかった。
う〜ん、もったいない。
勿体無いオバケに100回襲われちゃうぐらいもったいない(@_@)。
あー、正憲のバカバカバカ、バカッ

正憲が卒業するまでの数年、時々デート(笑)する楽しい時間を過ごせました。
あの時以来、ラブホに誘われることはありませんでした。
彼女さんから「正憲さんってホモじゃない?」みたいな疑惑をかけらたことがあったそうです。
女の勘って鋭いですね。
盗られちゃうんじゃないかって心配だったのかもしれません。

二人とも仕事をするようになると多忙な日々になりました。
転勤のあるR君とはなかなか会うことができなくなり、いつの頃からか始めた年賀状のやり取りだけが続いています。
自分の写真を印刷していることもあり、R君の様子は分かりました。
大学生の頃よりはちょっと肉がつきましたが、もともとスリムな体型なのでそれは維持しているようです。
同級生たちとは比べものにならない、若々しいお兄さんという感じ。

毎年年賀状をいただくたびに、そんなことを思い出すのでした。

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3回にわたってわざわざ書くような内容でもありませんね(苦笑)。
1回目に書きましたように、特に面白いオチはなしです。
目立った青春時代がなかった正憲が、淡い憧れ恋心を感じた思い出です。
お読みくださった皆さん、ありがとうございました。

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